光速を超えるニュートリノ

ニュートリノの速度が光速をこえているという驚きのニュースが配信されました.これから相対性理論が修正されるのか,あるいはこのニュースの元データが光速以下に修正されるのか予断を許しませんが,理論物理学の世界がにぎやかになることは間違いないでしょう.

素人考えでは,量子力学と相対性理論が統合されていないために,この現象が理解されない,と解釈するのですが,どうでしょうか?

トンネル効果という現象がありますが,粒子がトンネル効果で移動するときの速度はどのくらいなのでしょうか?また,量子もつれ状態というものがあり,観測によりもつれが解消される際には,その解消状態が「伝わる」ために時間を要しないでしょうから,それがニュートリノの移動速度と関係することはないのでしょうか???などと,妄想は膨らむばかり.これからのニュースが楽しみです.

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現在取り組んでいるプロジェクトについて

カメルーン火口湖ガス災害防止の総合対策と人材育成

1.序
1980 年代,カメルーン北西部のニオス・マヌーン湖で発生したガス災害は合計1800 名余の人命を奪った.原因となったガスは湖の深層水に溶解蓄積していたマグマ起源のCO2であった.CO2ガスは湖水から爆発的に噴き出し,周辺の地域に拡散し,住民を酸欠死させた.この現象は湖水爆発(Limnic eruption)と呼ばれている.湖水爆発は人類史上1980 年代のニオス・マヌーン湖で観測されたのみであり,極めて珍しい自然災害といえる.
湖水をマグマ(ケイ酸塩溶融体),CO2をマグマに溶存する揮発性成分と見立てれば,液相から気相が発生するという点で,湖水爆発はマグマ噴火と類似性が認められる.もしマグマ溜りにプローブを差し込んで,揮発性物質の濃度を観測できたら火山噴火は的確に予測できるだろう.これは現在の技術では不可能であるが,湖水爆発の予測は湖水に溶存するCO2濃度を的確に観測することで実現できる.

2.ニオス・マヌーン湖の現状
ニオス・マヌーン湖の湖底には,CO2を高濃度で含む温泉水の湧出があると考えられている.しかしその正確な場所は特定されていない.一般的に,温泉水は火山熱水系の産物であり,温泉水の湧出はマグマ溜りが存在する限り継続し得る.両湖の安全化を図るために2001 年以来,日本,米国,フランス,UNDP 等の援助によりガス抜き事業(Nyos-Monoun Degassing Project: NMDP)が実施され,2011 年時点でマヌーン湖のガス抜きはほぼ終了した.ただし,最深部の湖水には高濃度のCO2が依然として認められる.2010年時点でニオス湖にはまだ最大蓄積時(ガス災害発生直前)の約70 %のCO2が残存していた.2011年4月に2本のガス抜きパイプが増設された.これにより数年の間にCO2の大部分が除去できると期待されている.ニオス湖には別のリスクがある.ニオス湖の北岸はダムのような構造になっており不安定である.それが崩壊した場合,洪水はナイジェリア国境まで達すると恐れられている.崩壊による急激な水位低下により,深層水の圧力が解放され,湖水爆発を再発する可能性もある.

3.湖水爆発
ニオス湖で1986年に災害が起きた際のCO2の放出量は5.5×109モルと見積もられている(Giggenbach, 1990).一方で湖底からのCO2供給率は0.12×109モル/年(Kusakabe et al., 2008)であるので,約45年毎に湖水爆発が発生する計算になる.しかし,40~50年前に災害が起きたという記録はない.ニオス湖の周辺に住むコム族に伝わる伝承では,湖が突然爆発して部族が消滅したという.この伝承は遠い過去に湖水爆発が起きていたことを暗示している.以上のことから,湖水爆発が起きる前に湖底からのCO2供給率が上昇し1980年代の湖水爆発に繋がった可能性が指摘される.このことはカメルーン火山列(CVL)が活動期に入ったことと関係しているかも知れない.マヌーン湖とニオス湖でほぼ同時期に湖水爆発が発生したことや,CVLの南端に位置するカメルーン山が,1990年以降活発化し最近まで噴火を繰り返していたことは,両者の関係を暗示している.
湖水爆発の引き金については諸説がある.そもそも引き金など必要なく,マグマ性CO2の継続的供給により湖のCO2濃度が十分に高まれば,わずかなきっかけで爆発的脱ガスは起きるとする考え方がある.別の仮説として,災害直前に冷たい雨水が湖に大量に流入し,冷たい水塊があたかも地球のプレートのように深層に沈み込んだ結果,深部の湖水が持ち上げられ,圧力低下によりCO2が過飽和になり連鎖的・爆発的脱ガスを引き起こしたとする説もある(Giggenbach, W.F., 1990).研究の初期段階では湖底で火山噴火が発生したとする説も唱えられたが,現在ではその可能性は無いとされている.

4.防災の取り組み
国際協力機構(JICA)と科学技術振興機構(JST)は2008年に「地球規模課題対応国際科学技術協力事業(Science and Technology Research Partnership for Sustainable
Development:SATREPS)」を共同でスタートさせた.SATREPSの取り組みは,研究者が実施する学術研究と,途上国の研究者に対する物的援助が同時に可能な点で革新的と言える.SATREPSは日本のODAの目指すべき一つの方向を示している.SATREPSの一課題として、”Magmatic Fluid Supply into Lakes Nyos and Monoun, and Mitigation of Natural Disasters through Capacity Building in Cameroon”が採択された.この課題では,1)湖水爆発のメカニズム,2)湖水および周辺土壌・大気のCO2分布,3)地下水の流動,4)CO2-岩石相互作用,5)湖水のリアルタイムモニタリング,6)深層水溶存CO2の強制排除,7)火山噴火履歴,8)カメルーン火山列の地球化学等の研究をカメルーン国立地質調査所(IRGM)と共同で実施し,さらに,研究成果が行政機関に有効に伝わる仕組み作りを支援する.共同研究の成果に基づき,カメルーン政府がニオス湖地域に安全宣言を出すことにより,被災者が帰還し地域の復興と開発が進むことが期待される.たとえ安全宣言を出したとしても,湖の周辺の安全を確保するには永年に渡る継続的な観測が必要である.本課題ではカメルーン国が湖の継続的な観測および研究を実施できるように,共同研究に加え若い世代の人材育成,研究機材の供与を行う.途上国において災害を防止するにはこのよう取り組みが必要不可欠であると考えられる.

5.引用文献
Giggenbach, W.F., 1990. Water and gas chemistry of Lake Nyos and its bearing on the eruptive process. J. Volcanol. Geotherm, 42: 337-362.

Kusakabe, M., Ohba, T., Issa, Yoshida, Y., Satake, H., Ohizumi, T., Evans, W.C., Tanyileke, G., Kling, G., 2008. Evolution of CO2 in lakes Monoun and Nyos, Cameroon, before and during controlled degassing. Geochem. J., 42: 93-118.

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フェイスブック

世の中の動きは早いですね.フェイスブックが大流行.でもなかなか使いこなすのは難しいです.とにかく友達つくりをしたい人には強力な武器ですが,そうではない人にとっては,なんだか複雑なシステムです.一応アカウントつくりましたが,ほんのたまに書き込む程度です.

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異動しました

久々のブログ.今年の4月から東海大学理学部化学科に移りました.主に2年生に無機化学を教えています.観測所に篭る仙人のような生活とは180度変わりました.
無機化学は週に2コマあって,半期で4単位です.しかも必修講義なので責任重大.できれば全員に単位を取ってもらいたいのですが・・・.
職場は湘南キャンパスです.キャンパスはとても広いのです.大木が多くて道端には落ち葉が大量に積もっています.研究室のある17号館は湘南キャンパスの中では一番新しい建物で快適です.
これから4年生の卒研に全力で取り組む状況です.それと平行してカメルーンのニオス湖のプロジェクトも本格立ち上げの時期が来ています.来年の2月になれば何とか落ち着けると期待しています.それまで頑張ります.
今後の研究に関することは,すこしづつ書いてゆきたいと思います.
誰か読んでいてくれるのかな?
まだ東海大で自分のサイトを立ち上げていません.忙しくてそこまで手が回らない.

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ああ,ショック

5月xx日,自家用車を都内某所で運転.狭い路地から広い道路に左折で出るときに,ガリッといやな衝撃を感じた.左側面後部を鉄柱で削ってしまった.まだ新しい車なのでとても後悔.考え事をしながら運転していたのが悪かったのか.ディーラーに持ち込んだら,修理に33万円必要で10日間入庫とのこと.ガックリ.幸い車両保険に入っていたので補償されるが,保険料割引の等級が3段階戻ってしまう.来年は保険料が高くなる.
左後席のドアは筋状に凹んだ.修理は不可能で交換になるらしい.ドアというのは色がついていない状態でディーラーに入荷して,車に合わせて塗装するのだという.これは知らなかった.

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火口湖湯釜のパノラマ写真

現在,草津白根山は活動が活発化している可能性があり,湯釜火口の南展望台が立ち入り禁止になっています.観光客の方は西展望台から湯釜を眺めることになっています.この展望台は,いささか湯釜から距離があるので迫力に欠けるかも知れません.私は湯釜の観測のために火口内に立ち入り写真を撮ってパノラマを作ってみました.以下のURLにファイルをupしたので,ご覧いただくなり,あるいはダウンロードして印刷するなどして楽しんでください.ポスターなどを印刷する巨大プリンターで横長に大きく印刷するとすごい迫力です.まるで現場にいるような臨場感があり見とれてしまいます.複数画像を合成して作ったパノラマなので,火口の稜線に一部不自然がところがあります.どうかおゆるしください.
http://www.ksvo.titech.ac.jp/~ohba/index.html

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浮遊硫黄大量発生

草津白根山の山頂にある火口湖湯釜で浮遊硫黄大量発生しています.写真を見てください.このような現象は2004年10月23日の中越地震(M6.8)の後にも起きています.この時は草津町で震度4の揺れがありました.つい先日の5月12日には,上越地方でM4.8の地震がありました.この地震で草津町は震度4の揺れがありました.5年前と同じく浮遊硫黄が発生したのです.湯釜の底には,溶融した硫黄が溜まっていると考えられています.地震で湯釜が揺すられると,溜まっていた硫黄が湖面に浮かんでくるようです.火山活動とは直接の関係はないと思われます.
Dsc06173a

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火山ガス研究の意味とは?

火山ガス研究はかつて地球化学の世界で重要な地位にありました.火山ガスは地質年代を通じて地表に放出されているので,火山ガスこそが,大気や海洋を形成した起源物質であると考えられていたのです.この考えは,プレートテクトニクスの発達により,海水の一部がプレートにより地球内部に引き戻されていることが分かってから否定されました.確かに地球の形成初期に大量の火山ガスのような高温の気体が地表を覆い,それが原始海洋と原始大気を形成したのですが,現在われわれが目にする火山ガスは地球表層の物質循環のひとつの側面を見ているに過ぎないことが分かったのです.それでは,いまなお火山ガスを地球化学的に研究する意義とは何でしょうか?この先は,以下のURLに掲載したpdf文書をご覧ください.
http://www.ksvo.titech.ac.jp/~ohba/index.html

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ラドン濃度変化でイタリア被害地震を予知

ニュースでは,今回のイタリアにおける地震を予知したと主張する研究者の話が報道されています.この研究者は,G. Giulianiという方です.この話については,「また後予知の話が出てきた」との反応があるようですが,彼は,少なくとも2005年からラドンの観測を実施しているようです.以下は,研究所のセミナーで彼が発表した内容の要旨です.
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National Institute of Nuclear Physics, Gran Sasso National Laboratotyにおけるセミナー講演要旨(2005/7/13)

ラドン(222-Rn)による地震事象の先行的な検知

G. Giuliani

ラドンの探知器のプロトタイプは研究の目的である地震活動の先行的な検知のために最大限に活用できる.222Rnの検出の革新的な方法を開発した. ラドンの検出の新しい方法は今まで実現したラドン壊変の連鎖から放出されるα粒子の検出に基づいており,これまでの探知器より有効なようである.開発し機器のシステムを,ラクイア市においてラドン濃度変化の連続的な観測のために使用される.
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日本でも地震予知を目指してラドンの観測が今でも行われていますが,まだ実用化されていません.地震に伴ってラドン濃度が変化することは,確認されているようですが,地震が起きなくともラドン濃度が変化する場合もあるので,確実な予知にはまだ使えないのだと思います.

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イタリアの地震

2009年4月6日午前3時32分(現地時間)、イタリア中部のLAquilaでM6.3の地震が発生しました.震源が浅いため大きな被害が発生しています.イタリアでは,半島の中央部の山岳地帯で過去にも大きな地震が起きています.
20090411a_3

図.イタリアにおける被害地震(図中で,地名-発生年-犠牲者数を示す).

おどろくことに,今回の地震の震源のすぐそばで,約300年前にも大きな地震が起きて,一万人近くの人々が亡くなっているのです.また,LAquilaの南の山岳地帯のAvesssanoでは1915年に大地震が発生して,3万人におよぶ犠牲者が出ています.イタリアの中部山岳地帯は過去に大地震の被害に見舞われています.ナポリの東の山岳地帯でも被害地震が集中して起きています.イタリア半島の南端では,1980年に大地震がおきて,8万人におよぶ被害者がでました.この多くは地震で発生した津波による被害です.

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